仕事で問題がなかなか解決しないとき、「どこから手をつければいいのかわからない」人も多いかもしれません。
そんなときに力を発揮するのが、 ロジックツリー(Logic Tree) です。
ロジックツリーは、思考を整理し、複雑な問題を分解し、見えなかった解決策を明確にする思考の地図のような存在です。
業務改善や企画立案、トラブルの原因分析など、あらゆる場面で使える万能なツールです。
今回は、そんなロジックツリーの考え方について例とともに解説します。
ポイント
- ロジックツリーが何かわかる
- ロジックツリーを使って考えるために必要なスキルがわかる
- ロジックツリーの用途がわかる
ロジックツリーとは?
ロジックツリーとは、 物事を階層構造で分解して整理する思考法 です。
考える対象を木の枝葉のように分けることで、複雑な事柄を理解しやすい形にします。
ロジックツリーには、代表的な以下の4種類があります。
要素分解ツリー
要素分解ツリーは、考える対象の構成を細かい要素に分解するツリーです。
物事がどういったモノ・コトで成り立っているかを表現します。
ここでは 、PC(パソコン)の構造 をテーマにした具体例を紹介します。
例:PCはどんな構成要素でできているのか?
PC
├ 電源系
│ ├ 電源ユニット(ACアダプタ)
│ ├ バッテリー(ノートPC)
│ └ 基板への給電ライン
├ 処理系
│ ├ CPU
│ ├ GPU
│ ├ メモリ(RAM)
│ └ マザーボード
├ 保存系
│ ├ SSD
│ └ HDD(機種によっては)
├ 入出力系
│ ├ ディスプレイ
│ ├ キーボード・マウス
│ ├ USB / HDMI / LANポート
│ └ スピーカー・マイク
└ 冷却・外装
├ 冷却ファン
├ ヒートシンク
└ 筐体
例えば、PCが不調になったときを考えてみましょう。
ツリー化して考えられていれば、原因の方向性がすぐに絞れます。
- 動作が重い → 処理系
- 画面が映らない → 入出力系
- 保存できない → 保存系
- 熱くなる → 冷却系
原因分析ツリー
原因分析ツリーは、「なぜ?」を深掘りして、問題の根本原因を見つけるツリーです。
表面的な原因ではなく、より深いレベルの原因にたどり着くことができます。
例:ミスが多い原因は?
ミスが多い
├ 手順が複雑
│ ├ マニュアルが古いまま
│ └ 新人が理解しにくい
└ 確認漏れ
├ 時間的な余裕がない
└ ダブルチェック体制がない
原因分析ツリーは、問題の本質を突き止めるのに最適です。
「ミスが多い」ので、 「もっと気を付ける!」という根性論では改善しません。
何が原因でミスが多くなっているかを明確化する必要があります。
原因分析ツリーを使うと、「根本的な原因はマニュアルが古いからだ」など、改善すべきポイントが明確になります。
問題解決ツリー
問題解決ツリーは、「どうやって実現するか?」という視点で、改善策・アイデアを広げていくツリーです。
ブレスト(アイデア出し)や施策の検討に最適です。
例:業務効率化の方法を分解
業務効率化
├ 自動化
│ ├ RPA導入
│ └ 定型業務のツール化
├ 標準化
│ ├ 作業手順の統一
│ └ マニュアル整備
├ 外注化
│ ├ 事務作業
│ └ デザイン作業
└ 仕組み化
├ チェックリスト化
└ 進捗管理システム
このように、構造化して考えることで、アイデア出しの幅が広がります。
また、出したアイデアの偏りや抜け漏れが減ることにも繋がります。
KPIツリー
KPIツリーは、目標達成のための指標を細かく分解するツリー です。
どの数値が成果に直結しているかがわかるので、改善ポイントが明確になります。
例:webサイトの売上を分解
売上
├ サイト訪問数
├ 成約率
└ 平均単価
さらに「訪問数」を深掘りすると:
訪問数
├ 広告経由
├ SNS経由
└ メルマガ経由
このようにツリー化することで、「どの数字にテコ入れすれば成果が出るか?」が一目でわかります。
例えば、「訪問数は高いけど成約率が低い」なら「サイト内の訴求方法」などを改善する必要があるでしょう。
いじるべきパラメータがわかるので、事業の戦略設計に欠かせません。
ロジックツリーとロジカルシンキング
ロジックツリーは、ロジカルシンキング(論理的思考)を形にした道具です。
ロジカルシンキングは、「筋道を立てて考えることで、正しい結論に近づく考え方」。
そしてロジックツリーは、その筋道を見える化して、誰にでも伝わる形にするツール です。
つまり、
- ロジカルシンキング = 考え方の土台
- ロジックツリー = ロジックを可視化する手段
という関係性になっています。
ロジックツリーを考えるうえでの必須スキル
ロジックツリーを使いこなすには、次の3つのスキルが必要です。
MECE(モレなくダブりなく)
MECEとは、「抜け漏れがなく重複がないように整理する」という考え方のことです。
MECEはロジックツリーを作る基本です。
MECEについては、こちらの記事でより詳しく解説しています。
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全体を見る力(俯瞰力)
ロジックツリーは、物事の全体像をとらえることに他なりません。
このような時に必要なのが「俯瞰力」です。
俯瞰力とは、物事を上から眺めるように全体像を把握し、個々の要素や状況を客観的に理解する力のことを言います。
俯瞰力については、こちらの記事でより詳しく解説しています。
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大きなテーマ(抽象)を細かく分ける(具体)作業が、ロジックツリーを作ることそのものです。
抽象と具体を行き来して考えられると、ロジックツリーを容易に作ることができます。
抽象化と具体化については、こちらの記事でより詳しく解説しています。
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ロジックツリーの具体的な用途例
ロジックツリーは、あらゆる場面で使うことができます。
問題の原因分析
ミス、納期遅れ、売上低下などの根本原因を見つけることができます。
改善策の洗い出し
多角的な視点で、漏れなくダブりなく改善策を洗い出すことができます。
新規企画の立案
アイデア出し、価値の整理、構造化に役立ちます。
進捗が悪い時のボトルネック発見
仕事のタスクを細かく分解することで、どこが致命的かを明らかにできます。
チーム共有の資料作成
ツリー構造で図解になるため、誰でも理解しやすくなります。
まとめ
今回は、ロジックツリーの考え方についてまとめました。
ロジックツリーは、複雑な問題を整理するための強力な思考ツールです。
ロジックツリーを使いこなせるようになると、思考が驚くほどスッキリし、仕事のスピードも質も大きく向上します。
ぜひ、日々の業務の中で活用してみてください。
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