「考えを整理するのが苦手…」「話がまとまらないと言われる…」
そんな悩みを抱える人におすすめなのが、MECE(ミーシー)というフレームワークです。
MECEを使えば、モレなく・ダブりなく物事を整理でき、より思考をクリアにすることができます。
今回は、MECEの意味から実際の使い方、ビジネスでの活用例までを、わかりやすく簡単に解説します。
ポイント
- MECEが何かわかる
- MECEで考えるために必要なスキルがわかる
- MECEの使い方がわかる
MECEとは?
まず、MECE(ミーシー)とは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略です。
日本語にすると、
「互いに重複せず(Mutually Exclusive)、全体を網羅している(Collectively Exhaustive)」
という意味になります。
つまり、「抜け漏れがなく、重複がないように整理する」という考え方のことです。
たとえば、会社の社員を分類するときに、
- 営業職
- 事務職
- 技術職
と分けるのはMECEです。
一方で、
- 営業職
- 技術職
- 男性社員
という分け方は、「男性社員」と他の分類が重なるのでMECEではありません。
MECEとロジカルシンキング
MECEは、ロジカルシンキング(論理的思考)の土台とも言える考え方です。
ロジカルシンキングでは、情報を整理して「筋道立てて考える」ことが求められます。
しかし、情報が重複していたり抜けていたりすると、どれだけ考えても論理が崩れてしまいます。
そこで役立つのがMECEです。
MECEで思考を整理することで、以下のことを達成できます。
- 要素を漏れなく洗い出せる
- 論理の飛躍を防げる
- 説得力のある説明ができる
MECEの例
では、実際にMECEを使った例を見てみましょう。
売上を伸ばす施策を考える
売上を伸ばす施策を考えるとき、方針がぼんやりしたまま「営業力を強化する」「商品を良くする」「価格を調整する」などとバラバラに考えるとまとまりが悪いです。
ここでMECEを意識すると、
「売上 = 客数 × 客単価」
のように式に分解できます。
これを見ると、「売上」は大きく「客数」と「客単価」の2つの要素を考えるべきだということがわかります。
そして、それぞれはさらに次のように整理できます。
- 客数
└ 新規顧客数
└ リピート客数 - 客単価
└ 商品単価
└ 商品購入数
売上を上げるためには、これらのうちどれかの値を上げる施策をとれば良いことがわかります。
このようにMECEを意識して分類すると、「モレなく・ダブりなく」売上を上げるためにどんなことをしていくべきかを洗い出せます。
市場の分類
市場を「個人」と「法人」で分けるのはMECEですが、「若者」「女性」「法人」と分けると重複があるためMECEではありません。
分ける分類の基準を一貫させるのがポイントです。
MECEを考えるうえでの必須スキル
MECEはシンプルに見えて、実際に使いこなすのは意外と難しかったりします。
「どう分けるか?」「どんな軸で整理するか?」を正しく判断するには、次の3つのスキルが欠かせません。
全体を見る力(俯瞰力)
MECEには「全体像を把握する力=俯瞰力」が欠かせません。
視野が狭いと、部分的なことしか見れていないのでモレが発生します。
また、全体を見渡すことによって重複するのを防ぐことができます。
全体を見渡しながら物事の構造を整理することで、MECEに近づくことができます。
俯瞰力については、こちらの記事で詳しく解説しています。
-
-
【必須スキル】俯瞰力とは!?その重要性と鍛え方をわかりやすく簡単に解説!
2024/12/5 考え方
日々の生活の中で、「俯瞰力(ふかんりょく)」という言葉を耳にすることがあると思います。 「俯瞰力が高い人は仕事ができる」「俯瞰力がある人はリーダーに向いている」と言われるほど、このスキルは重要視されて ...
具体化と抽象化
MECEで考えるには、具体と抽象を行き来できる力が必要です。
なぜなら、MECEであるためには、考えている対象の抽象度のレベルが同じでなくてはならないからです。
具体と抽象を行き来することができれば、適切な抽象度でMECEに考えることができます。
たとえば「顧客」と一言で言っても、
- 新規顧客
- 既存顧客
に大きく分類できます。
さらに「新規顧客」は性別や年齢、関東や関西などの地域性などによってさらに細かく分類することができます。
より細かく分類していくほど、顧客像は具体的になっていきます。
ですので、「新規顧客」と「関西在住の顧客」を並列に考えることはMECEではありません。
これらは抽象度のレベルが異なり、「新規顧客」の中にも「関西在住の顧客」が含まれてしまっています。
このように、MECEで考えるには抽象度のレベルを合わせることが必須です。
そして、抽象度のレベルを合わせて考えるには、具体と抽象を行き来できる力が必要となるわけです。
具体と抽象を行き来することに関しては、こちらの記事でより詳しく解説しています。
-
-
【考える本質】具体から抽象、抽象から具体をわかりやすく簡単に解説!
2025/3/13 抽象化・具体化
私たちは、「具体」と「抽象」を行き来しながら物事を考えています。 この「具体と抽象を行き来する」思考がうまくできると、普段の思考力が飛躍的に向上します。 今回は、具体から抽象、抽象から具体に落とし込む ...
また、抽象度についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
-
-
【3分ですぐわかる】抽象度とは何か?簡単にわかりやすく解説!
2024/11/21 抽象化・具体化
日常生活やビジネスシーンにおいて、「抽象度」は思考を深めるための重要な概念です。 ただ、抽象度と言われてもそれが何を指しているのか、なかなかイメージできない人も多いのではないでしょうか。 今回は、抽象 ...
分類軸の選定
MECEの肝は、「どんな基準で分けるか」です。
たとえば人を分類するなら、「役割別」「年齢別」「地域別」など軸がいくつもあります。
どの軸が目的に最も合っているかを見抜くスキルが大切です。
目的が「組織の最適化」であれば役割別、目的が「マーケティング戦略」であれば年齢や属性別といったように、目的に応じた分類軸を選びましょう。
MECEの具体的な用途
MECEはあらゆるビジネスシーンで役に立ちます。
代表的な使い方をいくつか紹介します。
プレゼンや報告書の構成
MECEで整理すれば、抜け漏れと重複がなくなります。
情報にまとまりが生まれ、スッキリします。
聞き手にとって理解しやすく、説得力が増します。
問題解決のフレームワーク
問題の原因を洗い出すときに、抜け漏れなく分析するために使えます。
特に「なぜ?」を繰り返すロジックツリーと組み合わせると効果的です。
アイデア発想
アイデア出しでもMECEはとても有効です。
たとえば新しいサービスを考えるときに、「ターゲット別」「目的別」「機能別」などで整理すると、考えの抜けがなくなり、斬新な発想が生まれやすくなります。
まとめ
今回は、MECEについてまとめました。
MECEとは、モレなく・ダブりなく情報を整理する思考法です。
ぜひ、日常の仕事の中で「これってMECEになってるかな?」と意識してみてください。
よく読まれる人気記事は、そのままスクロールかサイドバーから見れます