プロジェクトにおいて、いつまでに何をするかというスケジュールを作成することは必須です。
しかし、どうやって効率的なスケジュールを作成するべきか疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
今回は、プロジェクトで効率的なスケジュールを作成する方法をわかりやすく解説します!
ポイント
- 効率的なスケジュールを作る方法がわかる
- デザイン・ストラクチャー・マトリクスとは何かがわかる
プロジェクトマネジメントで前提となるスキル
まず、プロジェクトマネジメントで大前提として必要となるスキルについてです。
プロジェクトマネジメントでは「俯瞰力」というスキルが必要です。
俯瞰力とは
俯瞰力とは、全体を見渡して問題や課題を把握する能力のことです。
これは全体観を持つことであり、俯瞰力があるとプロジェクトの目的・関係者それぞれの役割や責任・リスクや課題の優先順位などをより容易に明確化することができます。
俯瞰して考えることについてはこちらの記事で詳しくまとめています。
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スケジュールを作成するときに大事なこと
スケジュールを作成するときに最も考慮しなければならないことは「手戻り」です。
手戻りとは、工程の中で問題が見つかり、本来不要だったのにやらなくてはならくなった作業のことです。
要はやり直し作業のことです。
数多くのプロジェクトで手戻りを原因としたコストアップやスケジュールの遅延が発生していると、いろんな文献で報告されています。経験的にも実感がある人は多いかもしれません。
まとめると、スケジュールを作成するときはあらかじめ手戻りをいかにうまく管理するかが重要です。
効率的なスケジュールを作成する方法
スケジュールを作成する方法にはいろんなツールや手法がありますが、その中でも最近注目されているのがDSM(Design Structure Matrix)です。デザイン・ストラクチャー・マトリクスと言います。
タスク間の手戻りの関係をうまく扱えることで知られています。
DSM(Design Structure Matrix)とは?
DSMとはプロジェクトの作業や要素を行列で表現し、その間の依存関係を記述することでプロジェクトの構造や複雑さを分析するツールのことです。
2 つのタスク(タスクAとタスクB)の関係を考えてみましょう。一般的に次の3 パターンに分類できます。
上のマトリクスと下の矢印で示した図が一対一で対応しています。
マトリクスでは、情報のやり取りが必要なところに〇印を記載し、列から行へ情報のやり取りが必要ということを示しています。
両方とも他のタスクの情報を必要としない場合
上の図の一番左です。2つのタスクは独立の関係にあって、どちらも並行して進めることができます。
一方のタスクが他方のタスクの情報を必要とする場合
上の図の真ん中の図です。このとき、タスク間には従属の関係があり、タスクは順番に実行されます。
両方が互いの情報を必要とする場合
上の図の一番右です。タスクは相互依存関係があり、2つのタスクは繰り返されながら進めることになります。
DSM(Design Structure Matrix)を使うメリット
わかりやすさ
プロジェクトの作業や要素の関係を一覧で表現し、依存関係を視覚的に示すことでプロジェクトの全体像や問題点を容易に把握することができます。
柔軟性
マトリクス上でプロジェクトの作業や要素を、自由に追加や削除・並び替えることができるためプロジェクトの変更や最適化に柔軟に対応することができます。
効率化
様々な分析手法を用いてプロジェクトの作業や要素の依存関係を解析することで、プロジェクトの効率化ができます。
DSM(Design Structure Matrix)でスケジューリングする方法
ここでは、基本的なデザイン・ストラクチャー・マトリクスの作成手順を記載します。
1. タスクの洗い出し
まずは、プロジェクトにおけるタスクの洗い出しをします。
例として、今回のプロジェクトではタスクA・タスクB・タスクCがするべきタスクとして洗い出されたとします。(実際のプロジェクトではもっと多いです)
このとき、タスクを洗い出すときに初めに紹介した「俯瞰力」が必要となります。
スケジュールを作成する人が見えていないタスクが多ければ多いほど、そのスケジュールは未知の部分が多く不安定なものとなってしまいます。
2. タスク間の関係を把握する
洗い出したタスク間の関係性を調べましょう。
今回は、下の図のような関係性があるとします。
矢印の向きに情報が必要ということを表しています。(例えばタスクAをするためにはタスクBの情報が必要)
説明用に図に示しましたが、実際はマトリクス上でタスクの関係性を書いていけばいいです。
3. タスク間の関係をマトリクスに表現
先ほど調べたタスク間の関係性をマトリクスで表現しましょう。
下記の内容をマトリクス上に表現しました。
- タスクAはタスクBの情報が必要
- タスクAはタスクCの情報が必要
- タスクCはタスクBの情報が必要
4. 右上の要素ができる限り少なくなるように行と列を入れ替える
マトリクス上において、右上三角半分の〇印は手戻りが必要なことを表しています。
よって、右上三角の領域の〇印をできる限り減らすように行と列を入れ替えます。(これをパーティショニングといいます)
行と列を入れ替えたのが下の図です。
これを上から実行(タスクB→タスクC→タスクA)していけば、手戻りを可能な限り減らしたスケジュールを作成することができます。
まとめ
今回は、プロジェクトで効率的なスケジュールを作成する方法をまとめました。
スケジュールを作成するときには、手戻りを意識することが重要です。
DSM(Design Structure Matrix)を使えば手戻りをうまく考慮したスケジュールを作成できるので、ぜひ使ってみてください。
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